#2 メガネでチャームアップ

あらすじ

モモたちが住むペットショップに、1匹のポインターが連れてこられます。だけどこの子がパンダそっくり。しかもメスなのに性質が荒く誰も買い手がつかなかったとのこと。ママがなでると不思議となつくのですが、ピピルたちには挨拶もしないし生意気だと不評。ペットショップで預かることになり、モモは女らしい名前がいいということで「メリジェーン」と名付けます。

モモは、ポインターなのに自分から走ろうとしないメリジェーンに理由を聞くと、彼女はパンダといわれるルックスにコンプレックスがあり、人間に生まれたかったと打ち明けます。そんなとき、モデルの女性を探しているカメラマンと出会い、モモはいたずら心でメリジェーンを人間に変身させます。人間になったメリジェーンはメガネがチャームポイント。カメラマンは大喜びですが、モモの魔法は自分以外にかけた場合、3分しか効きません。すぐに犬に戻ってしまい、カメラマンをがっかりさせます。

モモはメリジェーンを猟犬として育てるため特訓を始めます。その様子を見た、アフリカで動物保護官をしているという男性が、メリジェーンの素質を見抜き、ぜひ引き取りたいと申し出ます。メリジェーンは引き取られてアフリカへ向かいますが、先ほどのカメラマンが化粧品会社の部長に、人間になったメリジェーンの写真を見せると、部長は化粧品の広告モデルに起用したいと、女性に賞金をかけてまで探し出そうとします。

それを知ったモモは、メリジェーンを連れ戻しにアフリカへ向かいますが、すっかり走ることが好きになっていたメリジェーンは、すでに人間になりたいという気持ちを失っていて、そうなるとモモの魔法は使えません。どうやらモモが自分で変身するしかなさそうですが…

魔法のプリンセスミンキーモモ 第2話より1シーン
魔法のプリンセス ミンキーモモ
第2話「メガネでチャームアップ」より
©PRODUCTION REED 1982

感想

まず、メリジェーンを売りに来たおじさんの声がマスオさんですw

王様役でレギュラー出演されている増岡弘さんですが、王様としての出番はそんなに多くないためか、ほぼ毎回、何かしらの脇役の声を担当されています。マスオさんでもわかるように、すごく特徴的な声の持ち主なので、ほんのチョイ役で出演されていても、声を聞くだけですぐわかっちゃうんですよねw

この回では、かつてのジャイアン役でおなじみの、たてかべ和也さんが部長役(クレジットでは「保護官」になっていますけど、保護官の声は別の方なので、おそらく誤りです)で出演していますが、後半でアフリカへ行ったときに登場するライオンまで演じておられます。たてかべさんは、この先のお話でも様々な役で何度も出演されています。

ほかにも、メリジェーン役が島津冴子さんだったりしますし、空モモを観ていると、思わぬ声優さんの若かりし声が飛び出してきますので、当時の声優さんを好きな方にもおすすめですw

いきなり声優さん話からになりましたが、今回はあらすじを書くのがちょっと難しいお話でした。シンプルにいえば「モデルに変身するお話」ですが、そこに至る過程がやや複雑ですし、なんせ2話にして、モモは突然アフリカまで行っちゃう上、あっさり行ってあっさり帰ってきますw

モモたちの住む町は「どこかの地球のどこかの町」です。日本ではありません。

これは当初から海外への販売も見越して制作されていた作品という事情もありそうですが、舞台が日本だと、どうしてもリアルにせざるを得ない部分もあります。たとえばモモは、1話ですでに自動車らしき乗り物を運転して牧場へ向かう描写があります。もちろん日本でもどこの国でも、12歳の女の子運転免許を持ってるわけがないのですが、ファンタジー作品としてわりと違和感なく見せているあたりは、この無国籍感も一役買っている気がします。そのわりに、のちのお話ではお金を「」で語っていたりもするシーンもあるのですが、そこはお金という概念がまだ乏しい幼児にもわかりやすくするためでしょうw

そして、この「自動車らしき乗り物」こそが、モモが世界へ飛び出していける原因ともなった「グルメポッポ」です。どういう原理で動いているかなどの説明は省かれていますが、道路も走るし空も飛べる、まさに魔法の乗り物です。

そして、この「グルメポッポ」を考えたのは、首藤さんでも湯山監督でもなく、スポンサーの玩具メーカーなのだそうです。

テレビ番組は、スポンサーにとって「広告媒体」です。つまり番組内容自体もスポンサーの意向に大きく左右されますが、空モモの時代はそれが特に顕著、というより露骨でした。

現代のアニメ作品は、放送後にもDVDやBDとして販売したり、動画配信サイトで扱ったり、グッズや映画、ゲームなどへの展開も視野に入れた展開がなされますので、スポンサーも複数の企業が「製作委員会」を組んで、テレビ放送だけで終わらず、長期的に収益が配分されるビジネスモデルが一般的です。スポンサーとなる企業も、長期的な収益を見越して出資しますので、作品自体がより商業的に成功すること、人気や話題を集めることを目的としています。

ところが、空モモの放送当時は「放送されたらそれっきり」の時代です。家庭用ビデオデッキは少しずつ普及しつつありましたが、まだデッキもセルビデオの価格も非常に高く、放送後のアニメ作品が全話ソフト化して販売という発想すらありませんでした。なので、スポンサーの意向はひとつ。番組内に自社製品を出して、CMを見せて、その製品をより多く売ること。ただそれだけです。

例によって首藤さんのコラムから引用させていただきます。

もともとこの作品は、企画会議でスポンサーの方から、「ストーリーなんてどうでもいいんです。ミンキーモモ関連グッズの30分のCMのつもりで作ってください」という、身も蓋もない、しかし玩具屋さんのスポンサーの立場からすれば、あまりに正直な注文をいただいていた。

これからストーリーを作ろうとしている脚本家に向かって、「ストーリーなんてどうでもいいんです」と言い切ってしまうあたり、この時代をとてもよく表してると思いますねw

グッズを売らんがための意見が、放映開始直後は、いろいろ飛び出してくる。
ストーリー上必要のないグッズも、番組の中で宣伝しろ……つまり、作品の中に登場させろという事になる。
最初は、どこかの町の中だけで収めるつもりだった『魔法のプリンセス ミンキーモモ』のアニメ製作者の意向など、玩具開発者には通じない。
空を飛んでどこにでもいける「グルメポッポ」などという乗り物は、女児用番組というだけで、玩具屋さんが『魔法のプリンセス ミンキーモモ』のストーリーが決まる前から開発していて、放映開始当時には完成されていた。
この玩具は、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』を、決してどこかの町だけで終わらせる気持ちのなかった僕にとって、ありがたい存在だった。
これを使えば、世界中、どこにでも飛んでいけるのだ。
だから、『ミンキーモモ』の活躍舞台には2話目から、いきなりアフリカが登場した。

現代の感覚からいえば、作家が「ストーリーなんてどうでもいいんです」なんて言われれば、それだけでモチベーションが下がり、適当にスポンサーが望むものだけ書いてればいいんだ、みたいな悪い意味での割り切りにつながりそうですが、ここはさすが首藤さんです。玩具メーカーが用意したよくわからない乗り物も、しっかりストーリーに組み込んで、作品を面白くしてしまうのですから。

ちなみに「グルメポッポ」という名称は、ウィキペディアの情報によれば、企画当初は「美味しいお菓子を乗せた夢の国の汽車」だったそうで、その名残りだそうです。全然グルメと関係ないし不思議な名前だなと思ってましたw

モモの胸のペンダント、魔法のバトン、そしてグルメポッポを模したおもちゃが、スポンサーの売りたい製品だったわけです。

この「スポンサーの意向」問題については、空モモという作品の終盤近くで制作現場を大きく揺るがせ、そこで奮起した首藤さんが書いたシナリオが、長年にわたって語り継がれる「伝説の最終回」へとつながっていくのですが、まだこのレビューは2話目なので、そのあたりはその時が来たら書きたいと思います。そもそもこの記事執筆時点のわたしは、その「伝説」をこの目でまだ観ていませんw

さて、ここまで書いて、今回のお話の感想をほとんど書いてないことに気づきましたww

まあ最初のうちは仕方ないですよね。前回に続き「シナリオえーだば創作術」を引用しているのは、空モモの作品設定とその意図についても触れていきたいからです。わたしはふだん作品を観てから作者に興味をもつことが多いのですけれども、空モモに関しては完全に逆で、首藤さんのコラムを読んでから作品に興味を持ったから、というのもあります。この2話をはじめ、空モモの多くの作品では、首藤さんは脚本そのものは書いてはいないものの、構成担当として全シナリオをチェックしているばかりか、毎回アフレコ現場に駆けつけ、その場で即興の次回予告を書いてしまうなど、作品全体に深く関わっておられます。

今回のお話では、モモは自分が変身するのみではなく、他者に対して、その夢や希望を具現化する魔法(ただし3分のみ)も使えることがわかりました。2話の段階では、まだモモが人間の世界へやってきた目的は、はっきりとは語られていません。だけどモモが「胸のペンダントが光ってくれるか」を心配する描写があり、「人々に夢や希望を与えることでペンダントが光る」ということが漠然と説明されました。

今回は「メガネをかけたってこんなに美しくなれる」ことを人々に認識させ、「メガネをいやがっていた女たちに夢と希望を与えた」ことが光った原因だろうと、王様と王妃様の会話で語られています。ところがモモが「もう一度モデルになろうかな?」とつぶやくと、ペンダントの光が止まりそうになり、モモがあわてる場面もあります。調子に乗るとダメみたいですw

モモがアフリカへ行ったときに、なぜか関西弁で語るフラミンゴが出てきたり、細かい部分の遊びもなかなか楽しいです。モモって無国籍な作風なのに、随所に関西弁(それも偽物っぽいw)を話すキャラが登場したりするんですよねw

最後に作画面ですが、今回のモモの顔は、なかなか特徴的ですw

作画監督は柴崎計さんです
作画監督は柴崎計さんです
魔法のプリンセス ミンキーモモ
第2話「メガネでチャームアップ」より
©PRODUCTION REED 1982

作画監督(作監)については、いずれ別記事で(モモだけでなくアニメ全般のお話として)書こうと思いますが、各話によって複数の作監がいる作品は、わりとそのアニメーターさんのタッチが色濃く出たりします。空モモに関しては、どういう特徴が誰の作監回かを言い当てるほど、わたしはまだ詳しくはありませんが、別の作品では、数秒見れば作監を言い当てられるほど個性が際立っている作品もあったりしますw

芦田豊雄さんによるモモのキャラクターデザインについては、首藤さんが書いておられます。

芦田氏の説明によると、シルエットになった時、誰が見てもミンキーモモだと分かる事……どんな小さな子供が似顔絵を描いても、つまり誰が書いても髪がピンクならミンキーモモだと了解できるデザインを目指したという。

確かにシルエットは特徴的で、誰が描いてもモモだとわかるデザインは秀逸だと思います。だけど顔がアップになると、原画を描く人の個性が際立ってしまうんですよね。それを統一的な絵柄に修正する役割が作監なんですが、個性的なタッチの作監だと、その作監の個性に修正されてしまうのですw

余談ですが、このブログを始める前に、ちょっとモモのイラストを描いてみたのです。大昔は漫画家を志していたと以前の記事でも書きましたが、断念した理由は画力のなさ。それでも全く描けない人よりは描けると思います。ただ、それを人様にお見せできるレベルかどうかは別問題でして、お見せできないからこそ載せていないのですがw

で、モモを描いてみたんですが、特徴的なシルエットにもかかわらず、だれ?となりましたw

わたしのような素人に難しいのはわかります。だけど、ふだんから他人のデザインを元に作画しているプロのアニメーターにとっても、やっぱりそっくりに似せて描くのは難しいわけです。空モモも海モモも、作監によって各回の作画レベルには波がある印象です。

かわいいカットもありますけどねw
かわいいカットもありますけどねw
魔法のプリンセス ミンキーモモ
第2話「メガネでチャームアップ」より
©PRODUCTION REED 1982

さて、通常1,000~2,000文字程度、長くて3,000文字程度を目指して書き始めたこのレビュー記事ですが、今回5,783文字というおそろしい数字が編集画面に踊っていますwww

余談や作品全体の話に入ってしまうと、つい長くなってしまいますねw

あんまり飛ばすとわたし自身が息切れしてしまうので、そろそろ控えめな内容にしていきたいと思ってはいますが、最初のうちは作品全体と絡めて語りたい事柄も結構ありますから、もうしばらくは長文になってしまう可能性が高いです。どうぞお付き合いくださいませw

作品情報

基本データ
サブタイトル メガネでチャームアップ
初回放送日(東京) 1982年3月25日
おすすめ配信サービス dアニメストア
スタッフ
脚本 土屋斗紀雄
絵コンテ 小島正幸
演出 大庭寿太郎
作画監督 柴崎計
原画 松下佳弘
和泉絹子
時矢義則
声の出演
ミンキーモモ 小山茉美
王様 増岡弘
王妃様(※1) 塚田恵美子
パパ 納谷六朗
ママ 土井美加
シンドブック 田ノ中勇
モチャー 木藤玲子
ピピル 三田ゆう子
メリジェーン 島津冴子
カメラマン 福士秀樹
部長 幹本雄三(※2)
保護官 たてかべ和也(※2)
メガネの女 岡和裕美

(※1)クレジット上の表記は「王女様」になっています。
(※2)クレジット上は上記のようになっていますが、「部長」の声が明らかにたてかべさんで、「保護官」は別の声なので、逆だと思われます。

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