#1 ラブラブ・ミンキーモモ

あらすじ

ある日、ミンキーモモが、ペットショップを営む子どものいない夫婦のもとへとやってきます。魔法の力によりモモを娘として、まるで昔からそうであったかのように自然と受け入れるふたり。

世界的な獣医でもあるパパは、アラスカのシロクマの間で流行している風邪を治すために出かけますが、その直後、競走馬ヒーローシンボリの具合を診てほしいと依頼が。パパの代わりにモモが往診に向かいますが、子どもだからと相手にしてもらえません。そこでモモは魔法で獣医の看護婦さんに変身。ヒーローシンボリの診察をすると、なんと毒を盛られていたことが判明します。

じつは、このヒーローシンボリがいる牧場は、4日後のファイアーショーで勝って賞金をとれないと、借金のカタとして強欲なワルダーに乗っ取られてしまうのです。おそらく毒を盛ったのもワルダー一味。ヒーローシンボリにはガチョンシンボリという弟がいるのですが、彼は人間に慣れないうえ、太めの駄馬だとバカにされています。だけど弟にも競走馬の素質があるはずと見抜いたモモは、彼を説得してサウナでダイエットを敢行。特訓の末レースに出場することになるのですが、ところが今度はジョッキーがワルダー一味に拉致されてしまいます。そこでモモは女性ジョッキーに変身し、ファイアーショーに挑戦することに。ワルダー一味からの数々の妨害をはねのけて、はたしてレースに勝つことはできるのでしょうか…?

魔法のプリンセス ミンキーモモ 第1話より1シーン
魔法のプリンセス ミンキーモモ
第1話「ラブラブ・ミンキーモモ」より
©PRODUCTION REED 1982

感想

記念すべき「空モモ」の第1話です。

わたしは「海モモ」を放送当時に楽しく観ていましたが、長年「空モモ」は概要を知っている程度でした。以前は「空モモ」も一部でも観たことがあるように誤認していて、そういうツイートしたこともあった気がしますが、実際に観てみると、おそらく初見だろうと思いました。「空モモ」の放送当時はまだ生まれていなかったか、生まれていたとしても幼すぎて観てたかどうかすら覚えていない。そのどちらかだと思ってくださいw

くわしい経緯は「きっかけはミンキーモモ」などを読んで頂くとして、その「空モモ」を突然観たくなってdアニメストアに加入。初めて「空モモ」の第1話を観たのは2018年12月のことです。

その第1話から度肝を抜かれました。

まず、第1話だというのに、ミンキーモモが何者なのか、ほとんど説明がありません。子どもが欲しいね、ということを話す夫婦。その直後、どこかエキセントリックなBGMとともに、突然空から光の道が。そこを女の子が走ってきます。そして第一声。

ミンキーモモ、デビュー!

いやいやいやいやwww
あなただれよ!?www

いきなりそんなツッコミから入るアニメも珍しいでしょうw

このあたりについては、ミンキーモモシリーズの原案・構成を手がけられ、第1話のシナリオも書かれている首藤剛志さん自ら説明されているので、少し長めですが引用します。

『魔法のプリンセス ミンキーモモ』の第1回は、子供のいない夫婦のところに、いきなりミンキーモモが「ミンキーモモ デビュー」と言って、夫婦の子供として住み込むところから始まる。
なぜ、ミンキーモモがどこかの地球にやって来たか等の理由は、いっさい省かれている。
視聴者にとって、まず、ミンキーモモと出会う事、その魅力を知ってもらう事を、最初に持ってきたかったからで、ミンキーモモがどこか地球に来た理由を説明していると、話の展開がだらけるし、ミンキーモモの作品世界を描くのに、邪魔なだけである。
1分でも早く、視聴者をミンキーモモ・ワールドに巻き込みたかった。
だが、他の脚本家たちにとっては、ミンキーモモが地球に来た理由などを知っておいてもらわなければ、シナリオが書けない。
したがって、ミンキーモモが地球に来た理由を説明した、もう1本の脚本も用意した。
つまり、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』の第1回は2本あったのである。
そのもう1本のシナリオは、多少、内容を変えて第4話に使っている。
ストーリー的には、4話から1話が普通だが、あえて放送時のインパクトのために、逆にしたのである。

つまり、この驚きの展開は確信犯だったわけです。

わたしも最初びっくりしましたが、これでぐっと作品世界に引き込まれたのも事実。確かにインパクトはすごかったです。「ミンキーモモ、デビュー!」と言いながらデビューする主人公なんて、そう滅多にいませんからねw

そして、パパは獣医さんなわけで、こういう女の子向けアニメなら、一般的にはワンちゃん、ネコちゃん、せいぜいウサギさんの治療などで話が始まりそうなものですが、のっけから競走馬ですしw

モモが変身するのは、さまざまな職業のプロフェッショナルです。第1話では、獣医のとはいえ「看護婦さん」(今は「看護師」ですが、放送当時は正式にこの職業名でした)という、放送当時は女の子が憧れる職業ランキング上位常連になったかと思えば、物語の後半では「女性ジョッキー」ですからねw

首藤さんの「シナリオえーだば創作術」を読んでいると、彼がいかに「面白いオリジナルストーリー」にこだわる脚本家だったか、よくわかります。子ども向けだからこの程度で楽しませられるだろう、というような「子どもだまし視点」では決して仕事をされていない方でした。大人が観ても楽しめるような作品にしようと。だから、いい大人になったわたしが今観ても、ミンキーモモという作品は全く色あせずに楽しめているのだと思います。

シリーズ構成」という役割は、複数の脚本家が手がけるシナリオのまとめ役のようなポジションで、いわば「脚本監督」のような立ち位置なのですが、脚本をどんな作家に書いてもらうか、その人選なども担います。首藤さんは、いかに面白いオリジナルシナリオを書けるか、という視点からミンキーモモの脚本家を選ばれたそうで、実際にミンキーモモに関わった脚本家の多くが、現在もアニメに限らず第一線で活躍されている作家さんだという事実が、それを如実に証明しているといえるでしょう。

ミンキーモモが放映される以前は、いわゆる「東映もの」と呼ばれる魔女っ子シリーズがありました。「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」「魔法のマコちゃん」「魔女っ子メグちゃん」「魔法少女ララベル」など一連の作品ですね。ウィキペディアなどで確認したところ、これらの放送がなかった時期に、突如として現れた非・東映による「魔法少女もの」が、この「ミンキーモモ」だったようです。再び引用します。

「今までの東映ものは意識しないでいいから、自由にやってよ」
と、葦プロの社長が言った。
「東映もの?」
なんのこっちゃ……?
「サリーちゃんとかアッコちゃんとか……」
つまり、魔法少女ものアニメには、東映動画が作っている魔女っ子ものの伝統があって、それが、しばらく途絶えているから、意識はしなくていいというのである。
意識するもしないも、僕は、魔女っ子ものアニメなんて見た事もなかった。
サリーちゃんもアッコちゃんも名前は聞いた事があるが、まるで関心がなかった。
理由は簡単、僕が男の子だったからである。
女の子の見るものなんて男が、それも大の大人が見るものとは思わなかった。
魔女っ子ものをやるからといって、参考にそれらのアニメを見る事もしなかった。

東映ものの影響を(少なくともシナリオ面で)受けていない、原作漫画もない完全オリジナルの魔法少女アニメ。それが「ミンキーモモ」でした。だからこそ第1話から競馬が出てきたりするのでしょうw

登場シーンもストーリーも、ギャグによるオチも、それまでの女の子向けアニメと比べれば、かなりぶっ飛んでるとは思います。ところが、すでに20話以降まで視聴した今のわたしが、この第1話を確認のため再度観てみたところ、これでもまだおとなしい方でした。しばらくは比較的おとなしめな作品が続きます。しかしこれも首藤さんの戦略でした。

僕が作りたかったストーリーは、子供だけでなく、大人が見ても通用するファンタジーだった。
しかし、放映当初はスポンサーの目が光っている。
幼児向けの作品に、大人に通用するようなファンタジーを作れば、子供に難しいストーリーは作るなというクレームがくるだろう。
スポンサーの目が、放映後『ミンキーモモ』の内容から離れ、CMのチェックぐらいになるまで、ほぼ二ヶ月と勝手に僕は読んだ。
それまでは、スポンサーを刺激しないような、無難なストーリーを並べておいた。

最初の2ヶ月を過ぎた第8話あたりから、どんどんシナリオがはっちゃけていきますし、続いて演出などの面にもどこか勢いのようなものが出てきます。作る人たちがノッてくると、キャラクターが生き生きと動き始めるというわけです。

それでは最後に声優さんに触れておきましょう。

とにかく豪華ですw
マスオさんとタイコさん王様と王妃様だったりしますw

冒頭のナレーションは、クレジットはありませんが、ワルダー役の滝口順平さんでしょう。第1話に限りませんが、こんな大ベテラン声優さんが、ほんのチョイ役まで何役もやってたりします。往年の声優さんが好きな方は耳が放せないでしょうw

個人的にはピピル役の三田ゆう子さんかわいすぎかー!!!

そして主人公のモモは小山茉美さん。今では日本を代表する名声優のひとりですが、モモの当時はまだ20代。それでも声優デビューから7年ほどの中堅で、その前年には代表作のひとつ「Dr.スランプ アラレちゃん」もスタートしています。当時のアニメファンからの人気も高く、アニメ雑誌「アニメージュ」誌上での読者投票「アニメグランプリ」では、女性声優部門で1981年から3年連続1位を獲得しています。(ちなみに海モモを演じた林原めぐみさんも、何度も同賞の声優部門で1位に輝いています)

わたしは幼いころから小山さんの声が大好きで、もっとも親しんだ作品は「キテレツ大百科」のコロ助(初代、のちに杉山佳寿子さんに交代)だったりしますが、少女の声は本当にかわいらしく、大人になるととっても大人っぽい。まさにモモという役柄にはぴったりな声優さんでしょう。

そんなわけで、今回は第1話ということもあり、余談、雑談、引用まであって、かなり長くなってしまいましたが、次回からはもう少しすっきりした形で書いていきたいと思っています。(語るべきことの多い回は長くなるかもしれませんがw)

今後、週2~3回の更新頻度を目指して、少なくとも「空モモ」のレビューは最終回まできっちりと書ければと願っています。これからもどうぞよろしくお願いします♪

作品情報

基本データ
サブタイトル ラブラブ・ミンキーモモ
初回放送日(東京) 1982年3月18日
おすすめ配信サービス dアニメストア
スタッフ
脚本 首藤剛志
絵コンテ 湯山邦彦
演出 湯山邦彦
作画監督 田中保
原画 神宮慧
林隆文
福田浄二
柳田勤
声の出演
ミンキーモモ 小山茉美
王様 増岡弘
王妃様(※) 塚田恵美子
パパ 納谷六朗
ママ 土井美加
シンドブック 田ノ中勇
モチャー 木藤玲子
ピピル 三田ゆう子
ワルダー 滝口順平
牧場主 野本礼三
牧童 福士秀樹
ケン 神保なおみ

(※)クレジット上の表記は「王女様」になっています。

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